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Integrated Report 2013
2014̶2016年3月期 中期経営計画導入の背景
新たな中期経営計画の導入にあたって、今後の市場環境の見通 しを次のように考えています。国内では、人口減少などによる消 費市場の縮小傾向と消費構造の多様化が想定されます。海外 については、アジア市場は当面拡大が見込まれ、欧米の景気も 回復基調にあると思われます。総じて、国内の事業環境は厳しさ が続くものの、国内外ともに成長を見込める機会は充分にある と考えています。
一方、供給面に目を転じると、ワコールグループの事業展開上 のリスクが存在しています。アジア諸国の賃金上昇、為替相場の 円安傾向といった環境要素は、ものづくりのコストに大きく関 わってきます。国内外の市場環境は複雑かつ相互に関係してお り、単独の国や地域、あるいは事業会社単体による解決を図る には非常に困難です。まさに、ワコールグループの総合力をもっ て向き合っていく必要があると認識しています。
攻略すべきポイント
ワコールグループとして、事業面で攻めきれていないポイントは 次の通りです。国内市場において、小売事業の拡大、ピーチ・
ジョン、ルシアンの加入により、カバーする範囲は広がっているも のの、いまだワコールが存在感を示し切れていない「地域」「顧 客の年齢層」「商品の価格帯」があり、さらなる拡大余地が存在 しています。
「地域」では、高いシェアを誇る地域と同様の店舗規模、ブラン ドミックス、販売体制を構築していても、売上シェアが低いエリ アがあるのに加え、当社の売場自体が存在しない地域も多くあ るのが現状です。
「顧客の年齢層」では、10代のシェアが低い状態にあります。
また、ワコールへの顧客ロイヤリティが高く、大きな優位性を持 つ50代、60代において、大手衣料チェーン店などからの影響力 が高まっています。
「商品の価格帯」では、当社が市場のボリュームゾーンと考 える、ブラジャーの単価2,000円台におけるシェアが低いとい う状況があります。
さらに海外については、欧米、中国、アジアの各地域において、
拡大余地はまだまだ大きくあると考えています。
200,000 百万円以上 14,000 百万円以上 7% 以上
数値目標
2016年3月期 連結売上高
2016年3月期 連結営業利益
連結営業利益率
市場環境の見通し
国内
消費市場の縮小と消費構造の多様化 人口減少や産業空洞化による消費縮小 消費税率引き上げや社会保障負担増による 可処分所得の減少
高齢化加速によるシニア市場の拡大 資産効果による高額品の活況 流通変化による購買行動の多様化
海外
成長するアジア市場と開拓余地のある欧米市場 中国、ASEANの中間層、富裕層の拡大 米国景気は回復基調を維持
欧州全体は厳しいが、大市場の英独を中心に回復期待
116,000 7,400
112,224 6,487
2016
2013
16,000 1,700
11,631 1,434
2016
2013
30 WACOAL HOLDINGS
主要事業会社別の重点施策 株式会社ワコール
2016年3月期数値目標
売上高 2013年3月期比 3.4%増 1,160億円 営業利益 2013年3月期比 14.1%増 74億円
中核事業会社である株式会社ワコールでは、リーダーシップを 発揮し、グループ全体を統括するとともに、企業理念を全体に浸 透させる役割も担います。
また、取り組む施策の方向性は以下の通りです。
お客さまとの接点を拡大
• 人間科学研究の強化による高付加価値商品の開発や販売 チャネル・ブランドを跨いだ体制の構築や、新しいビジネスモデ ルの開発、強い小売事業の確立
国内ボリュームゾーン市場を深耕
• 低価格帯を中心としたボリュームゾーン市場への取り込みに 向け、郊外型・大人向けフォーマットの開発やシニア向け市場 の開拓、既存展開ブランドの強化などで、ボリュームゾーン商 品を拡大
環境変化への対応
• 在庫管理の徹底に取り組み、売上高在庫率の10%低下を目標 に。さらに、製造原価の高騰リスクを吸収するために、製造分 野の構造改革を実施し、仕様の共通化や海外材料調達比率 の増加、生産能力のASEAN諸国へのシフトを推進
成長分野へのチャレンジ
• 継続的なレディースインナーウェア以外の事業育成として、ウ エルネス事業やメンズインナー事業などにおいて、商品ライン 拡張による新規顧客の開拓などにより、成長分野での取り組 みを強化
ワコールインターナショナル(米国)
2016年3月期数値目標(想定為替レート:1ドル=95円)
売上高 2013年3月期比 37.6%増 160億円 営業利益 2013年3月期比 18.5%増 17億円 継続的な成長を目指し、一層の拡大を図る
高級品セグメントにおける商品企画力の向上や、コスト競争力の 強化を背景に、米国内百貨店チャネルでの高級品シェア回復 や、これまでに開拓したカナダ、ブラジルなど周辺国市場におけ る販路育成、好調に推移するウェブ通販の拡大に取り組みます。
また、米国ワコールとワコールイヴィデンが持つ経営資源を 相互に活用し、それぞれが無駄なく顧客接点を拡大していきま す。工場や材料調達などのSCM資源については、日本のワコー ルやアジア現地法人との協働によって品質面、効率面の改善を 図ります。
中国ワコール
2016年3月期数値目標(想定為替レート:1元=15円)
売上高 2013年3月期比 50.9%増 100億円 営業利益 2013年3月期比 3億円の利益計上 効率化を図り、経営バランスの安定化を 優先課題として取り組む
拡大手法の見直しにより新規出店を抑制し、代理商の活用など で拡大を図ります。また、在庫管理の強化や技術力向上による 製造コストの削減を通じて、利益体質へと変革していきます。
そのうえで、機能性商品の投入による競合他社との差別化や、
「LA ROSABELLE」の育成を通じて、中間層向け商品の拡充 を図るなど、商品面の強化によって着実に市場における地位を 確立します。
ワコールインターナショナル(米国)売上高/営業利益目標 株式会社ワコール売上高/営業利益目標
百万円 百万円
3.4% 14.1% 37.6% 18.5%
2013年3月期比 2013年3月期比
営業利益 営業利益
売上高 UP UP 売上高 UP UP
10,000 300
6,625
−346
2016
2013
31
Integrated Report 2013
ワコールイヴィデン
2016年3月期数値目標(想定為替レート:1GBP=140円)
売上高 2013年3月期比 94.4%増 140億円 営業利益 2013年3月期比 701.9%増 17億円
欧州事業における中核として、グローバルに経営資源を活用 米国ワコール、日本のワコールと緊密に連携し、「米州でのチャ ネル相互乗り入れ」「欧州での販売体制強化、ワコールブランド 拡大」「アジア現地法人、日本の販売部門を通じたイヴィデン商 品展開」「中東、オセアニア販路を生かしたワコールブランド展 開」といった、さまざまなバリエーションでの販売シナジーを発 揮していきます。
また、国やチャネル特性によってグループ内のブランドを最適 に配置し、ブランド投資を効果的に実施します。供給面でも、ブ ランド別の生産体制を見直すとともに、グループの資源をフルに 活用し、原価低減を図ります。
ピーチ・ジョン 2016年3月期数値目標
売上高 2013年3月期比 18.8%増 145億円 営業利益 2013年3月期比 215.3%増 10億5千万円 顧客基盤の再構築と売上高の拡大
前期に着手した商品ブランド、カタログの再編を軌道に乗せ、広 告やウェブを機動的に活用して、新規顧客の取り込みなど、顧 客数の拡大を図ります。また、直営店の新規出店も実施します。
一方で、最適な需給バランスを維持するために、適正な発注 計画による細やかな在庫・販売管理に取り組みます。
中国事業については、まずは黒字化に向けて価格政策の見直 しや適正な人員配置を早期に実行していきます。
ルシアン
黒字体質の維持とグループ戦略を支えるインフラとして グループ間連携を深める
ルシアンは、材料調達の多くを海外に依存しており、さらに販路 の大半が日本国内であることから、アジア地域の人件費高騰や 為替相場の影響を大きく受けるリスクがあります。しかし、ロー コストの調達基盤は、ワコールグループ全体のボリュームゾーン 拡大にとって欠かせないインフラです。内部効率化で黒字を維 持しながら、カンボジア工場の安定稼働の実現や、ASEAN地 域での材料調達モデル確立などを通じて、グループの競争力強 化に貢献します。
グループ外向けには、OEMの提案力強化と商品展開の拡充 に取り組んでいきます。
中国ワコール売上高/営業利益目標
百万円
50.9% 3
億円の利益計上2013年3月期比
営業利益 売上高 UP
32 WACOAL HOLDINGS
花堂氏 はじめにWICIについて説明させていただきます。
WICIは、知的資産経営の実現に、2007年から日・欧・米の3極 を軸にグローバルに取り組んでいます。知的資産経営とは、一次 的には、「企業が、自らに固有で、強みの源泉となる知的資産(人 的資産、組織資産、関係資産をはじめ、企業に利用可能な無形 の資源)を活用して、有形資源と適切に組み合わせて最も効率 的に価値の創造に専念する経営」です。
住田氏につきましては、日本経済が金融資本主義へと舵を切 り始めるなか、経済産業省が取り組んだ「ものづくりこそ社会を 支える屋台骨」であり、それは「見えざる経営資源である知的資 産の働きが鍵」になっていることを見抜き、産業構造審議会 経 営・知的資産小委員会「中間報告」及び「知的資産経営の開示 ガイドライン」を2005年にまとめました。その後、経済産業省の
本務に勤しみつつもWICIの会長を引き受け、知的資産経営の 世界的な枠組み設定に努めてきました。「統合報告」のグローバ ル・フレームワークの創設を目指す「国際統合報告評議会
(IIRC: International Integrated Reporting Council)」の活 動にもWICIの会長として大いに貢献しています。またWICIと IIRCについては協力団体として、企業が価値創造する活動の真 髄を一つのストーリーとして表現し、その要因を表わすKPI(Key
花堂靖仁 コーディネーター 世界知的資産イニシアティブ
(WICI)ガバナンス・グループ 早稲田大学知的資本研究会 上級顧問
「ワコールグループの 価値創造」
競争優位をもたらす「見えざる資産」を語る
ONE-ON-ONE DISCUSSION
塚本能交 株式会社ワコールホールディングス 代表取締役社長 住田孝之氏 WICI会長(2013年5月17日時点)